配車係のたろーです!
私もtwitterをやっている@haisyaman_taroのですが、配車というキーワードでよくエゴサしてます(苦笑)
そんな中、割と多いのが、
「効率の悪い配車組みやがって!」
的な文句ですね。
わかります、言いたいことは痛いほどわかります。配車係だってバカではないですから、効率の悪い配車だなってことは十分わかってるんです。でもですね、出来ない理由もあるんです…。
効率の良い配車が理想だが…
何度か記事にもしてますが、効率の良い配車というのは、
Aで積みBで降ろす
Bで積みCで降ろす
というような、降ろし先もしくはそれに近いところで積み、次の卸先に向かうというものですよね。
ばら撒きの仕事の場合は、半径10km以内の得意先を数件回る、というような近距離複数降ろしの荷組も効率がいいでしょう。極端な話、東京の配送なのに、なぜかポツンと千葉の配送先が1件あるとか、そういうのは効率が極端に悪い配車です。
しかし、乗務員さんにとっては、効率の良い配車というのはあまり無いはずです。
なぜでしょうか?
入庫時間と出庫時間は明確に区切られている
ごく一般的なセンターの仕組みはどのようなものでしょうか?食品や飲料系のセンターを例にとってみます。
物流センターは入庫した荷物をお客様に届けるのが仕事です。お客様はスーパーやスーパーに共配するセンターだったりします。スーパーの営業時間内に納品を完了しなければなりませんから、配送に出発する時間は早いはずです。7時〜8時には配送に出発するわけですね。
トラックが配送に出発したあとが、物流センターの入庫時間です。そして、大体午後になると出荷の時間になることが多いので、基本的には物流センターの入庫時間というのは午前中というのが一般的なようです。
ということは?
入庫を終わらせた車が出庫に使われるということはまずない、ということですね。
これは同じような性質を持つ荷物の場合はおそらく同様なのではないかと思います。あるとすれば、大口の返品がそのセンターにあり、それを積んで積みに地に戻るとか、そういった類いのものでしょう。
工場から倉庫へ運ぶ長距離便
長距離の車も同じような感じです。仕事として多いのが、工場から倉庫への移動です。長距離走った後に地場を回るなら別ですが、通常は上りと下りを繰り返す方が翌日に帰ってこれますし、運賃効率もいいですから帰りの荷物を探すことになります。
そうすると、帰りも別の工場から荷物を積み、戻った先の倉庫に転送するという仕事になるはずですよね。
この場合でも、降ろし地で荷物を積む理由がありませんから、降ろし地で次の荷物を積むということができないのです。
近くで積ませてあげたいが…?
まぁこの辺は乗務員の皆様も理解していると思います。
「そうじゃなくて、近い場所で積む荷物を取ってこいよ!」
ということが言いたいんでしょう。
ですが、配車係としては乗務員に怒られるより怖いことがあるのです。なんだかわかりますでしょうか?
仕事が無いことです。
次の仕事が見つからないことへの恐怖というのは、配車係をしてたら身にしみてわかると思います。特に長距離の仕事の場合、帰り荷がないというのが一番の恐怖です。乗務員さんに行ってもらってるのに帰らせることができない上に売り上げもあげられないわけですからね…。
そういうわけで、配車係というのは運賃の良い仕事を結構決め打ちで受けておくわけです。
最悪他の会社の荷物と入れ替えさせてもらえばいいや、という気持ちですね。
そして、その入れ替えが出来なかった場合に、効率の悪い配車が出来上がってしまう、という寸法です。
近い場所での納品先に、ポツンと遠っぱがつけるのはやめてくれ!?
もう一つ例にあった、配送範囲から外れた場所の納品先が荷組されている件についても言及しておきます。
近い得意先同士の配車に、遠いところがポツンとつくのはなんで?
私もよく言われるのですが、
「なんでこの地域の得意先を回るのに、ここだけポツンと遠いところつけるんだよ!?」
と言った苦情。
乗務員さんの指摘はもっともですし、配車マンとしてもできればそういう荷組をしたくは無いんです。
しかしながら、どうしてもそこを配送してくれないと困っちゃう可能性というのが2パターンほど私の中ではありまして…。
- 1つは本当にそこだけポツンと配送先で浮いてしまっている
- 2つは車両の売り上げを上げるために距離を走らせている
複数件を回る仕事いうのは、おそらく会社が荷主からエリアとしてそこの配送を全て請け負っていることが多いはずです。要するに、オーダーが入ってきてしまったら必ず配送しなければならないという状況です。
この場合、小さい配送エリアのどこにも属さない納品先のオーダーが入ってしまうと、誰かを配送に向かわせなければならないことになってしまうわけです。
こういう場合は、まぁなんとなく乗務員さんも理解していただけているはずですから、ローテーションや順番などの配慮を込めた配車をすればわかっていただけるかと思います。
問題は、売り上げを上げるために距離を走らせている、というパターン。
最近はこんな非効率なことをやってる会社はないかと思いますが、運送会社や物流会社によっては車1台がどれだけの売り上げを上げたか?ということを日々チェックしているそうです。
通常荷主からもらう運賃というのは、積み地から納品先までの距離と荷物の重量で決まるトンキロと呼ばれる請求体系をとってることが多いかと思います。すると、例えば4t車に2,200kg積んで近場を数件回らせても、全然売り上げが上がらないということが起こりうるわけです。
すると、払った運賃に対して貰う運賃が合わず、車両単体で見ると赤字になってしまう、という現象が発生するわけですね。
数字を管理する本社からすると、なんでこの車両は赤字なんだ?配車が悪いんじゃないのか?乗務員がちゃんと仕事をしてないんじゃないのか?と言ってくるわけです。本社は数字しか見てない、と言われる所以はこういうところにあるんですね。
ではどうするかというと、その近場の件数にプラスしてちょっと走る得意先をつけるわけです。すると、その分がプラスに働き、収支が赤字から黒字に転換することがあるんですね。詳しい計算が必要ですが、配車に慣れてくるとなんとなく地域でわかるようになるようです(私はわかりません苦笑)。
そんなわけで、配車からすると乗務員さんと自分を守るためにそういう配車をしているわけですが、この辺の仕組みって難しいしメンドくさいのであまり説明できません。ですから、乗務員さんからするとわけわからず遠いところに行かされるのでムカつくということになってしまうんだと思うんですよね。
配車も苦労してるんだなー、というのが少しでも伝わればいいんですけど。回りくどい私の文章だと読まれないかもしれないですね…。
効率の良い配車になるのはいつなのか?
ではこのまま乗務員さんの配車がいつまでたっても効率が悪いままなのか?と言われると、私はそうは思ってません。
AIが発達してくるからです。
人間が配車組をすると、どうしても経験とか、仕事をもらう配車マンの人間関係とか、もっというと乗務員の好き嫌いというのも加味されてしまいます。
しかし、AIが配車をするようになると、全てが自動化です。AIが効率の良い荷組を考え、乗務員はそれに従い配送を行うだけになります。
もちろんすぐに劇的に改善されるわけはありませんが、人間よりもいい配車ができるようになるのに10年もかからないんじゃないかなーというのが私の考えです。逆にいうと、配車係はそこまでに何をしていけば良いのか?というのを考えておかねばならないんじゃないかと思ってます。
乗務員の皆さまは、それまでもう少しだけ辛抱してくださいね…。