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ノー検品納品はNO検品?導入がまだ早い理由

ノー検品納品をしたいんだけど

配車係のたろー(@haisyaman_taro)です!

 

乗務員の救世主、ノー検品納品ってご存知ですか?

 

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これ全部検品してから納品してる、はず…

 

時間がかかる検品

 

BtoBの配送では、通常センターに納品する際に検品作業があります。もちろん積む前にも検品作業がある場合がありますけど。

 

この検品という作業が非常に時間がかかるわけです。工場からセンターなどに納品に行く際は、1アイテムとか2アイテムということもあり、検品も比較的簡単なんですけど、例えばメーカーのセンターから小売のセンターなんかに納品という仕事の場合、100アイテムとかあることもあります。これを一つ一つ納品先で検品してもらう、というのが非常に時間がかかるわけですね。

 

これを無くしてしまおう!というのがノー検品の納品ということなのです。

 

ノー検品はいいことだらけ?

 

乗務員の皆様ならばわかると思いますが、もし仮に世のセンターがノー検品OKの倉庫になったら、待機時間は劇的に緩和されますよね。トラックが並んだ端からセンターの入庫がどんどん進んでいき、降ろしたらハイさようならーと出発出来てしまう。

 

荷受けをするセンター側も、いちいち検品する必要がないので荷受けしたらすぐに荷物の格納にうつれるわけです。センター側の残業時間抑制にもつながります。(ちなみに、トラック乗務員の待機時間はかなりクローズアップされていますが、倉庫作業員の時間外も結構労基法スレスレまで働く必要があるセンターもあり、こっちもそのうち問題視されるんではないかと思ってます…)

 

センターの予約システムよりもノー検品納品を実現させた方が割と幸せになりそうな予感がしますよね!

 

しかし、ノー検品納品を実現するにはまだちょっとハードルが高いのではないか?と私は考えています。いいことだらけではないんです。

 

誰がその作業をするのか?

 

じゃあノー検品納品を導入しよう!と言ってすぐに導入できるものでもないのがノー検品納品です。

 

これを行うためには、まず全てPL納品に切り替えが必要です。そもそも、バラ納品ですと納品に時間がかかるためノー検品にした時の恩恵が凄まじく薄いです。また、センター側に何が納品されるのか、どのパレットに何の商品が乗っているのか(検品をしなくてもいいように行う)、というのをお知らせしなければなりません。入庫予定というのは最近はどのセンターにも入ってると思いますが、さらに付加情報が必要ということですね。

 

バラ積みで納品をしていた場合、PL積みにすると積載率が下がる可能性があります。いままで1台で積み切れたものが2台必要になったりと、車の調整も必要になってきます。

 

では、その作業の負担は誰がするのでしょうか?メーカーでしょうか?荷受け側のセンターでしょうか?

 

車を1台から2台に増やせば、その分の配送料がかかります。単純に倍になります。

 

指定通りのパレットに商品を積みつけるのは誰がやるのでしょう?出し元のセンターでしょうか?積み込みを行う乗務員でしょうか?

 

つまり、現状ではノー検品納品を導入すると、ただ単に労働の場所が変わるだけということになります。納品時間の短縮、待機時間の減少はわかりますが、これではさすがにどの会社も導入には消極的になるでしょう。

 

受け手のセンターも、実際にはノー検品とはいえ、どちらにしろ格納するときには商品のチェックが必要になります。まだまだ片手落ちな納品方法とも言えなくもないですよね。

 

以上のことから、ノー検品納品の普及は現状あまり進んでいないと思います。

 

RFIDが安価に普及するかが鍵?

 

私が思うに、少しでもノー検品納品が前進するためには、RFIDの普及が第一条件だと思っています。

 

RFIDとは、

 

ID情報を埋め込んだRFタグから、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm~数m)の無線通信によって情報をやりとりするもの、および技術全般を指す。
Wikipediaより

 

というもの。最近ですと、アパレルブランドのGUなどが導入していますが知っていますか?私はこれ、最初見た時びっくりしたんですよね。商品をカゴに入れたままレジを通すと、バーコードの読み取りなど必要なく瞬時に合計金額を計算してくれるというもの。レジの無人化に成功した事例です。

 

このシステムが取り入れられれば、どのパレットに何が積んであるのかをいちいち確認しなくてもいいですし、これならばノー検品納品のハードルがグッと下がると思います。

 

ただ、このRFID、まだちょっと高いようです。確か、私が聞いた1年くらい前で1枚5円くらいしたような記憶があります。この記事を書くにあたり、RFIDのタグがいくらなのかを調べてみたのですが、情報を取りきれませんでした。いまいくらくらいなんですかね?

 

仮に今5円だとして、800ケース積んだとすると、4,000円の配送料増です。RFIDタグをメーカーの製造過程で導入するとすると、さらにそこでも物流費増です。物流の上流から下流まで一貫した情報を届けるとなると、メーカーがタグ付しないと意味ないでしょうから、ここを物流会社が負担することはないと思いますが、その分値上げには応じてくれなくなるかもしれません。

 

大手メーカーであれば、SCM部というのがそれを考えるんでしょうけど、そこまで考えてくれるんでしょうか。RFIDを読み取るための機材導入費用もかかりますしね。

 

サプライチェーンマネージメントは難しい

 

BtoBとは言え、納品が少量多品種高頻度になっているのが納品を難しくしている原因かと思います。

 

アサヒビールで言えば、昔はビールといえばスーパードライだったのに、今はスーパードライですら多品種になっている有様。他の加工食品だって同じです。野菜はそうでもないのかな?でも野菜だってどこどこ県産とか、無農薬だとか同じ種類でもありますもんね。

 

これを一つの会社のSCMだけで解決しよう!なんてのは無理な話です。

 

難しい時代になってきたもんだとつくづく思います。

 

会社同士が力を合わせて物流問題に取り込む必要がある時代になってきたのではないでしょうか?物を開発したって、運べなければ売れないわけですからね。

 

この辺りでモタモタしているうちは、もしかしたら軽貨物の配送がビジネスチャンスになるのかもしれませんねー。