予約システムについて考えてみた
配車係のたろー(@haisyaman_taro)です!
物流センターで最近よく聞く予約システム。導入とその流れについて考えてみました。
ホワイト物流で業界をホワイトに
物流クライシスとか、ものが運べなくなる時代になるとか、散々煽られている物流業界ですが、乗務員不足・倉庫作業員不足は確実に起こっていまして、募集をかけても人がなかなか集まらない状況が続いています。
そんな業界ですから、必然と乗務員も倉庫作業員も配車係も長時間労働が問題となっていて、いわゆる物流業界はブラックという雰囲気が漂っているわけです。そんな風評(というか事実)が出回り、さらに人が集まらなくなるという悪循環に陥っているんですね。
そんなわけで、これはどげんかせんといかんと、お上から改善せい!とお達しがありました。
それが「ホワイト物流」推進運動です。
このホワイト物流推進運動では、ブラックな労働状況の中身や改善すべきポイントなどがデータとして記載されており、労働以外にも環境問題や企業の責任についても言及しているのがポイントですね。
そして、あらゆる企業がホワイト物流に参加できるようになっていて、参加の表明も自由。参加の仕方も、
「ホワイト物流」推進運動への参加は、この運動の趣旨と「自主行動宣言」の必須項目に
賛同表明をいただいた上で、このサイトから 「自主行動宣言様式フォーマット」をダウンロードし、
自主行動宣言を作成して事務局に提出することによって行います。
という簡単なもの。
必須項目ですが、
「自主行動宣言」の必須項目
取組方針
事業活動に必要な物流の持続的・安定的な確保を経営課題として認識し、生産性の高い物流と働き方改革の実現に向け、取引先や物流事業者等の関係者との相互理解と協力のもとで、物流の改善に取り組みます。
法令遵守への配慮
法令違反が生じる恐れがある場合の契約内容や運送内容の見直しに適切に対応するなど、取引先の物流事業者が労働関係法令・貨物自動車運送事業関係法令を遵守できるよう、必要な配慮を行います。
契約内容の明確化・遵守
運送及び荷役、検品等の運送以外の役務に関する契約内容を明確化するとともに、取引先や物流事業者等の関係者の協力を得つつ、その遵守に努めます。
以上の三点となっています。ぶっちゃけ普通のことを言っているのですが、今まではその普通のことが守られてなかったってことですね…。どの口が!とも言えますが、業界が前進するなら多めに見るしかないでしょう、過去のことを言ってももはや仕方ない…。
予約システム導入は時代の潮流
さて、基本的な三点を守ればホワイト物流宣言に参加できるということがわかりました。しかし、なんでそれが予約システムを導入することにつながるのか?というのがいまいちピンときませんよね。
実は、ホワイト物流宣言において、基本事項三つの他に、自社でさらに取り組む項目というのが設定できるんですね。
項目が多いので、詳しくはホワイト物流のサイトを参照してください。
この自主的にホワイト物流にするために取り組みますよ、という内容から自由に選んで事務局に提出するわけですが、一応提出されている会社を全社見てみましたが、基本項目しか宣言してなかった会社は一つもありませんでした(後述しますが闇を抱えた会社は数社ありましたけどね)。
我々配車係が一番気になるのは物流センターがどのような宣言をしているのか?という部分かと思います。もうお分かりかと思いますが、物流センターを運営している会社の自主宣言の多くに、
A② 予約受付システムの導入
が含まれていることを確認しました。そうです、業界的には予約受付システムを導入するのがもはや既定路線ということなんですね。
なぜ予約システムを入れるのか
私は予約システムを導入している倉庫で働いたことがないので、どのようなオペレーションになっているのかがわかりません。なので推測になってしまうことをご了承ください。
入庫予約システムの時間設定は、
- 配車係(もしくは荷主)が予約受付をする
- 乗務員が予約受付をする
の2パターンがあると思われます。基本的にはFAXかインターネットで希望の予約時間を入力し、その返信で予約が確定するというのがオーソドックスな入荷予約システムだと思います。前者の場合はその会社のFAXかメールで、後者の場合は乗務員のSMSに返信がきます。
その時点で予約が完了し、その時間に荷物を降ろせますよ、というのが基本パターンです。
ここでセンター側が予約時間を決定するメリットが2つあります。
- どの荷物がどの時間に来るかがわかるので人員配置がしやすい
- 長時間待機が発生しているというクレームをもらわなくなる
そもそも予約システムを物流センターが導入する動機としては①が選ばれていることが多いと思います。というのも、倉庫の運営って荷物が来て受け取ってハイ終わり、というほど簡単なものではなく、入庫したらその荷物を倉庫に収納して保管するまで一連の流れです。もちろん、倉庫の中は有限ですから、どの荷物をどこに配置しようというのを決めなければなりません。
どの荷物がどの時間に来るかがわかれば、予め保管する場所を開けておき、そこの荷物を保管していけばいいので行き当たりばったりで作業するよりもはるかに作業効率が良くなります。
そして、物流センターによって一度に荷受けできる台数は決まっていますから、時間で区切ることによって一気に入庫が来なくなり時間にゆとりをもった人員配置が可能となります。8:00〜9:00は入庫が集中するから人を厚めに配置しよう!とか考えなくてもいいってことですね。
つまりこれは、倉庫の残業時間削減にも繋がるわけです。
で、②のメリットですが、実はこちらもセンターとしてかなり大きな問題を解消する理由となります。
待機時間は予約時間からスタートする
配車をやっていると、
「ここって結構混むから朝早めに行っておいた方がいいよ」
という話をよく聞きます。
つまり順番取りを早くして、ハマらないようにしてね、という依頼ですね。倉庫側はそんなこと言われているとは知らないと思いますが…。
長時間待機が発生する理由というのは、配車や乗務員のハマりたくないという心理的感情から生まれることも多々あるということです。もちろん、待機時間の申請は荷受け開始時間からなので、例えばそのセンターが9:00から荷受けをスタートする場合、7:00から並んでいても9:00からしか待機時間はカウントされないよ、ということです。
(トラック協会の見解を貼っておきます)
しかし、配車や乗務員としても、じゃあ9:00に受付に行って、他の車がバンバン先に順番どりしていて40番目でした、なんてことになったら次の仕事に支障が出るわけで、7:00から2時間の待機が発生するとしても1番手を取りたいよねと思うのは必然ではありませんか。
そうなると、物流センターは大変です。混むから早く来る、早く来る車が多ければ多いほど入庫が集中し、荷受け時間がズレてくる。長時間待機が発生する、クレームが発生する、というコンボが完成します。
では予約システムを物流センターが取り入れたらどうでしょうか?
待機時間は荷主の指示があった時間から発生し、事業者都合で待っている場合は待機時間にならないとトラック協会の見解にあります。ということはいくら早く並ぼうが、順番待ちを行おうが、予約システムで時間を決定してしまえばその時間からしか待機時間が発生しないということになります。
長時間待機が発生しづらくなるわけですね。
以上のことから、物流センターがこぞって予約システムを導入する流れとなっているわけですね。①の問題が最初に来ますが、②の問題も現場としては早く降ろしてくれ!というプレシャーが結構すごいので、早く導入したいと思っているんじゃないかなーと個人的には思ってますけど、どうなんでしょうね?
すいません、かなり長くなってしまったので記事を分けようと思います。
次回は予約システムの課題と問題点について、です。